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茨木のり子さん

『倚りかからず』から

「苦しみの日々 哀しみの日々」

苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリぐらいではあろうけれど

さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずから養うに足る時間であったと

少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴(ざくろ)のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
 (わからないよりはいいだろう)

苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテン化してしまうのは
ごめんである

受けとめるしかない
折々の小さな刺(とげ)や 病(やまい)でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには

自己省察の要素は皆無なのだから
by aco-007 | 2009-10-25 17:52 | 読書 | Comments(0)

深呼吸して 力を抜いて


by あこ